スピード

サロンワークで必要とされる施術スキルは、安全性や衛生性、正確性、効率性、バランス性、美的センスの他に、施術スピードがあげられます。

その中でも、1分で何本つけられるかや、100本つけるのに何分かかるのかだけでなく、スタート時と終了時まで同じスピードでつけられることや、左目と右目、また目頭と目尻のスピード差がないことの方が大切です。これらは、如実に仕上がりに直結するからです。

朝一番のお客様のときはサクサクつけられても、最終のお客様のときにはスピードダウンしていたり、また、その逆のことがあったりするのは、自己管理不足以外の何ものでもありませんが、左右や部位によってスピード差が出る場合は練習不足であり、原因追究不足でもあります。

お客様にとっても、アイリストにとっても、サロンにとっても、施術スピードが速いに越したことはありません。施術スピードを上げるためには、いきなり早くまつげエクステを装着しようとしたり、まつげパーマのワインディングを行おうとするのではなく、まず、施術に関する全ての「ムダ・ムラ・ムリ」を発見することからです。

まつげエクステ未経験スタッフの時短スキルアップのコツ

ツイーザーを握りたての初心者の頃に注意するのは、まつげに対してエクステを真っすぐにつけることです。ですが、まつげは皮膚に対して、真っすぐに生えているわけではありませんので、当然、バラついた仕上りになります。

ですので、まつげを見ながら、同時に、まぶたに対して垂直になるようにつけるには、まつげのどの部分につけると真っすぐになるのかを考えて、接着面を決めるわけです。初期の頃にこれをやるのは大変ですが、まっすぐなまつげのお客様は、まつげサロンのお客様の中にはなかなかいらっしゃいません。まつげをいじり倒して、禿げていたり、目頭や目尻が切れていたり、左右差がとても大きい方が大半ではないでしょうか。

ご自身ではどうしようもなくなって、まつげサロンに駆け込んで来られるお客様もいらっしゃいますので、ひと昔前のように、「毛に対して真っすぐにつけることからスタート」のような状態だと、いつまで経ってもデビューできないどころか綺麗につけることができないので、スタッフ自身の自信につながっていきません。

まつげに真っすぐにつける練習を行うのはマネキン練習で十分です。モデル練習のときには、目の前のまつげをよく見て、まつげに左右されず、まぶたに直角につけるようにすることが重要です。目頭部分はまぶたのアーチにもよりますが、ほとんどの場合、鼻と並行につけるとうまくいきます。ご参考になさってください。

Point

  • 初期の頃に注意するのは、まつげに対してエクステを真っすぐにつけること。
  • まつげのどの部分につけると真っすぐになるのかを考えて、接着面を決めること。
  • まつげに左右されず、まぶたに直角につけること。目頭部分は鼻と並行につけるとうまくいく。
もっと詳しく学びたい方は、こちらをご覧ください。 ベーシックコース・最新の基礎技術や知識を学びたい方
・安全な商材や道具を見極める力をつけたい方
・経験者として就職したい方その他のコースはこちら

目次へ戻る

道具やフォームは最終目標をどこに置くかで変わってくる

ツイーザーを選ぶ際に「何を基準にしたらよいか分からない」という生徒さんが意外に多いことに気づきます。ツイーザーは、自分の手の大きさにあったものや握りやすいもの、重さで選んだり、一番最初のスクールで教えてもらったから、など基準は様々です。

私中島が生徒さんにお話しするのは、自分が行う施術が上まつげだけなのか、上下の施術が通常技術となるのかで選ぶ基準が違うということです。もちろん、これはシングルラッシュ(1本のまつげに1本のまつげエクステンションを装着していくオーソドックスな技法)の話で、ボリュームラッシュ を行うとなると、ツイーザーはまた違うものが必要になります。

シングルラッシュの上まつげだけを装着して、今お使いのツイーザーで安全に装着できているのでしたら、それでよいと思います。ですが、下まつげの装着も視野に入れたり、また、スピードアップを考えたりされるのでしたら、ツイーザーは変えた方がいい場合も多いのです。

ツイーザーを変えなくても、持ち方の改良が必要なことは多いです。下まつげエクステの導入を断念される原因として、持ち方が変えられず、時間がかかってしまっていることが多々あります。

なかなかスピードアップができない理由として、必要のない無駄な工程が加わっていることが多いです。施術には、「その工程がどうしても必要かどうかどうか」を常に考えることが必要です。逆に新たな工程を増やすときにも、同様に考えることが大切です。1度増やした工程を減らすことはなかなかできませんものね。

「この方が慣れているから」とか、「やりやすいから」という自分本位の理由では結果が変わることはありません。自分のクセは自分では分からないものです。道具だけでなく、フォームなども、施術中の自分の姿を見ることがないので分からないですよね。

ですが、フォームを変えるだけで、施術後の疲れがずいぶんと違ってきます。もちろん、施術スピードも、安全性も、変わってきます。お客様の快適性も各段にアップします。道具やフォームを変えることはかなりのストレスですが、先を考えたら早い方がいいですよね。

座ってできる仕事は本当に楽です。こんな楽な仕事なのに、首や腰を痛めたりして、長く続けられない人がいます。その原因のほとんどは、使用しているツイーザーや施術中の姿勢にあることを考えたことがあるでしょうか。

老眼鏡をかけたとしても、60歳までは確実にできると思います。40代やそこらでできなくなる仕事ではありません。そのためには、常に気がつき、客観的に判断できる環境に自らを置くことが必要ですね。その環境がなければ、自ら作ることが必要だと思います。この仕事が大好きなのだったら長く続けたいですものね。

Point

  • 「その工程がどうしても必要かどうかどうか」を常に考える。
  • 「この方が慣れているから」とか「やりやすいから」では、結果は変わらない。
  • 道具やフォームを変えることはストレスだが、先を考えたら早く変えた方がよい。
  • 常に気がつき、客観的に判断できる環境に自らを置くことが必要。
もっと詳しく学びたい方は、こちらをご覧ください。 ベーシックコース・最新の基礎技術や知識を学びたい方
・安全な商材や道具を見極める力をつけたい方
・経験者として就職したい方その他のコースはこちら

目次へ戻る

施術スピードをアップさせる本質

左右の目や施術する場所によってスピード差が出てしまう本質は、まず手のポジショニングのまずさにあります。もちろん、どんなツイーザーを使うのかも大きく影響してきますが、同じツイーザーを使ったとしても、両手の置き位置やどの指を使うのかで、結果が大きく違ってきます。

左目が苦手な人が多いのは、左ツイーザーの使い方が下手だからです。左目に相応しい、右手で仮毛をつかむ位置や角度、置き位置を知らないからです。スクール在学中に、「まつげに仮毛をつけられるかどうか」にのみ重点を置いて教えられてしまったり、サロンにいきなり就職して、黙々と自分一人で練習する時間が長いと、体のフォームや手の置き位置を知らずに自己流になってしまうことがよくあります。

ツイーザーが眼球に向かっていたり、眼球を押さえてしまっていたりするなどの「危険行為がなければよい」というスタンスでやっていくと後々弊害が必ず起きます。また、スピードアップができない原因は、ワゴンセッティングや道具、消耗品、材料などの準備や仕込みがまずいために(動作確認が必要です)、ムダな時間を取ってしまっていることが多いです。

シートタイプの仮毛を使う場合、シートから仮毛が取りにくかったり、シール部分がめくれて、いちいち押さえなければならなかったりするものがありますよね。技術者からすると、本当に嫌になる商材です。「施術中に心が乱れるようなものはごめんだ」と言いたいところですが、現状これが今の商材業界のマックスなのだとしたら、それを私たち技術者が仕込みで工夫しなければなりませんね。

スピードアップができなかったり、できあがりに満足がいかないという人のセッティングや仕込みは大抵工夫がないことが多いです。ただ、手を速く動かすだけではなく、施術に入るまでの準備を徹底して行うことや施術中に無意識に行っているムダな動きを徹底排除するだけで、同じ接着剤を使用したとしてもスピードは確実に違ってきます。

必要であれば、フォームを変えて、道具を変えて、商材を変えて、消耗品を変えて・・・、とやっていけば、必ず変わります。施術スピードのアップはサロン効率をよくすることととらえがちですが、本質は「お客様の快適性を守るため」「お客様の貴重な時間をムダにしないため」です。

「時は金なり」という言葉がありますが、同じ仕上がりや持ちだったら、1分でも早く仕上げてくれる方がお客様はうれしいですよね。アフターカウンセリングにも時間が取れますので、初めてのお客様にも注意事項や必要な物販商品のご紹介などをすることもできます。

なじみのお客様の中には、アフターでお喋りを楽しみたい方もいらっしゃいますよね。そのような方にもお時間を取ることができるようになります。施術に追われていると、この仕事は本当につまらないでしょう。

まつげ美容の場合、施術中お客様は寝ていらっしゃることが多いので、髪やネイルに比べて、コミュニケーションを取るのが難しいんですよね。だから、施術前後のカウンセリングやアフターカウンセリングである程度時間が取れるように、施術スピードを常に上げる練習をすることが必要なのです。

まつげにもよりますが、100本だったら30分でつけられると、余裕を持って接客ができるはずです。お客様満足度が上がれば、自然に単価もリピート率も上がっていきます。

Point

  • ツイーザーの両手の置き位置やどの指を使うのかで、結果が大きく違ってくる。
  • ワゴンセッティングや道具、材料などの準備や仕込みを完璧に行い、ムダな時間を省くこと。
  • 施術中に無意識に行っているムダな動きを徹底排除すること。
  • 施術スピードのアップはサロン効率をよくすることではなく、本質は「お客様の快適性を守り、貴重な時間をムダにしない」ため。
もっと詳しく学びたい方は、こちらをご覧ください。 アドバンスコース・最新の応用技術や知識を学びたい方
・即戦力として就職したい方
・就職できるサロンの幅を広げたい方
その他のコースはこちら

目次へ戻る

施術スピードの上げ方

まつげエクステを正しく装着できていても、一人で練習していたり、サロン経営をしていると必ず陥ってしまうのが、「スピード感の欠如」です。サロン内に複数のアイリストがいる中で練習すると、周りの先輩アイリストのスピードに慣れていきますよね。美容学校でも、先生のデモを見て、「このくらいのスピードでやらないと、タイムに入らないんだ」と思った経験はありませんか。先生のデモは、特別速いようには見えないけど、先生の動きにはムダやムラ、ムリがないことに気づきます。だから、しっかり終了5分前には終わっています。

 

スピードアップのための授業の際には、そんなイメージで、私中島のデモを見てもらうことが多いです。インターン生は併設サロンアントスのサロンワークを実際に経験するのですが、先輩アイリストのスピードに驚き、自信をなくしてしまうことも少なくありません。

お客様の中には加齢に伴うまぶたのたるみで、まつげの生え際が隠れるようになったり、左右でまぶたの形が違ってきたまぶた(右は二重、左は奥二重など)の方もいらっしゃるでしょう。若いお客様でも、ビューラーやつけまつげ、アイプチなどの弊害でまつげエクステが付けづらくなってしまっている方もいます。 

基本的に、まつげに問題がなければ、エクステをつけようという方はそんなにはいらっしゃいません。エクステを付けるのが簡単というお客様より、付けるのが難しいというお客様の方が多いはずですから、施術に時間がかかっても仕方がないのではなく、トランプゲームの神経衰弱のごとく、次はどこにエクステを入れられるかを覚えてながら、装着していくことが重要です。

前処理の時に、ただまつげを綺麗にするだけではなく、まつげの生え方や左右差などをチェックして、オーダーされた本数の配分を決めないといけないんですよね。装着スピードが遅い人の典型的なパターンとして、「つけられそうなまつげを探しながらつけている」ということが挙げられます。これでは、神経衰弱をやっても勝てないですよね。
しかも、まつげを両方のツイーザーで散々触りますから、仕上がりも美しいとは言えない状態になってしまいます。なるべく、ツイーザーで、まつげには触らないことが、時短&美しい仕上がりに近道です。

実際に生徒さんにデモを見てもらうと、「速いですね」と言われますが、大宮はマツエク激安市場ですから、とにかくスピード命なんですよね。ホットペッパービューティーでエクステ100本の所要時間を見てみると、40分〜50分が相場です。所要時間であり、施術時間ではありませんから、100本だと施術が30分以内に終わらないと、大宮では「遅い」と言われます。

 

ですので、アントスははっきり言って、大宮の中では遅いサロンです。私自身、スタッフにはそこまでスピードにこだわらせていません。上120本&下40本の施術を行う場合、新規のお客様だとカウンセリングを含めて2時間以内、リペアだと1時間30分以内、が許容範囲だと教えています。

もちろん、施術スピードは速いに越したことはありません。それは、まつげにこだわりや警戒心の強いお客様が多いですから、カウンセリングにも比較的時間がかかるため、施術時間は短い方が良いのです。
他店のように、「新規のお客様を1時間でこなす」というわけには、なかなかいきません。特に、今は、ご新規様もリピーター様も、ほぼ100%の確率でボリュームラッシュをオーダーされますし、リフトアップエクステも、下まつげも、ディープクレンジングやトリートメントなども同時オーダーされますから、上まつげにシングル付けだけのお客様と比べると、所要時間が長くなって当然なのです。
ですが、お客様の大切な時間を無駄にしないために、アントスでもスピードアップは常にテーマです。シングル付けでスピードアップが図れないと、時間のかかる「リフトアップ系施術」や「ボリュームラッシュ」などの施術は難しくなりますし、長時間の拘束を避けなければならない妊婦の受け入れもできなくなります。

安全に付けられるようになったら、次はデザインと言いたいところですが、持続性(持ち)と同様に重要なのが施術スピードなのです。ここは、一気に駆け足で上がらないといけないところなので、集中してがんばりましょう。

 

Point

  • 施術スピードが速い人は動きにムダ・ムラ・ムリがない。
  • 前処理の時にまつげの生え方や左右差などをチェックして、オーダーされた本数の配分を決めるとよい。
  • ツイーザーでまつげになるべく触らないことが、時短&美しい仕上がりに近道。
もっと詳しく学びたい方は、こちらをご覧ください。 アドバンスコース・最新の応用技術や知識を学びたい方
・即戦力として就職したい方
・就職できるサロンの幅を広げたい方
その他のコースはこちら

目次へ戻る